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淡々と過ぎていく現実は
瞳のスクリーンに
映し出された映画のよう
僕は飽き飽きしながら、それを鑑賞して
ストーリーは蒼い陰りを帯びながら、
徐々に展開を速めていく
それは無闇に焦燥を募らせ
切実な何かを切り捨てさせる
ぼくは少しずつ削られて
小さく小さくなっていく
僕はそれにすら欠伸をする
見捨てられたぼくは
ただ削られるまま
抉られるまま
最初は口を
耳を
眼を
器官を薄皮一枚ずつ
肉を
骨を
精神を
突然引きちぎっていく
欠損よりも残酷で、喪失よりも残虐な
あまりの痛みに総ては麻痺し
脳神経は惑わされ
僕は騙されてしまう
騙されたぼくはまた
ただ躰をちぢこませ
「もう何も無い」
と嘘を吐きながら
僕を削りとっていく
「ソウ、僕ハ僕ヲ削ッテイタダケ」
僕を嫌悪しすぎた僕は
真実すら持たず
静寂の音にすら怯え
沈黙の中に狂気を生み
面倒になって、諦めすら放棄した
ただ終わるのを待ち望んで
かと言って終わる訳もなく
あまりに苦しくて
どうしようもなくなって
僕と僕の裂け目に
泣きながら刃をつきたてた
そして吹き出る
真っ赤なソレ
新鮮なソレ
赤い液に混ざるアレ
腐った僕
汚物は周囲を汚しながらまき散らされる
新鮮な香りと腐った臭いが鼻を突く
なまぐさい
なまぐさい
ぐらぐらと世界が回って
千切り棄てられた心臓が
ぐちゃりと軽い粘性の音を立て
磨耗した神経が
ひゅうの呼吸一つで
音も無く切れた。
止まないのは激痛で
神経はとうに狂い
警告は無視されていただけ
止まないサイレンは
誰のためになっているのか
わかるはずもない
ただ僕は僕を生み出した
僕はありもしないもの
いるはずもない僕はただ
僕の代わりの身代わり人形
僕は壊れに壊れ果て
挙げ句に意識を混濁し
守るはずのこの僕を
殺してしまった愚かなしもべ
もうここには誰もいない
幻だけが嘲笑ってる
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