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その場にいた全員が、彼女――今現在教室にいる仲良しグループの最後の一人、里田さんの方を凝視する。
で、見られている里田さんの方はといえば、何故か表紙にヒエログリフしか書いていない(多分中身は崩し鏡面文字ヒンドゥー語ばーじょん)小説らしきものを脇に抱え、素人から見たら完全なる無表情で立っていた。
ちなみに素人から見たら、と言うのは彼女の表情がミリ単位でしか変化しないからで、かなり仲良くならないと分からないから。
まあ、どっちにしてもめったに変化しないんだけど。
今はノーマルより口角が一ミリ上がっていることから考えて笑っているらしい。
……楽しんでやがったなコイツ。
皆は里田さんを凝視し続けながら、彼女が口を開くのを今か今かと待っていた。
当たり前だ、彼女がこのタイミングで口を開くということは、何かしらの答えを言うということなのだから。
彼女の博識ぶりは宇宙人レベルなのだ。
宇宙人が博識なのかは知らないけど。
通称「鶴の一声」(日本語間違ってるとか気にしないで)。
最後の方にしか言わないのはなんというかまあ仕様。
見られ続けている里田さんは、未だに口を開かない。
その大きな目のまぶたが通常より二ミリほど閉じられているということは、どうやらにやついているらしい。
……遊んでやがる。
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