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 全く、なんて末恐ろしい奴だ。こいつは本当に小学3年生なのか? それに、今回の騒動を画策した同級生、坪内花音も天才だな。この子たちを敵に回しては絶対にいけない……俊平はそう思った  高原を吹く風が乱れ始め、西側から黒い雲が空を覆い始める。大地を焦がすような土の香りが押し寄せ、チャペルの中を通り過ぎた。直後に大きな雨粒がチャペルの屋根を叩きつけ激しい音をたてる。外の景色が真っ白な水煙に覆われた  「恭子先輩。ずいぶん(かせ)がないとアイスクリーム代が払えないので、探偵の仕事を精進します。サポート、よろしくお願いします」  俊平がそう言って恭子に頭を下げると、恭子は、「もちろんOKよ。その代わり、必ず私の検視には付き合ってちょうだいね」と言って薄笑いを浮かべた  「え? それは嫌です。やっぱり漆原先輩に相談してみます……」  「何言ってるの。死体が嫌いじゃ、探偵は務まらないわよ。それに、みどりちゃんの新しい調査の件、死臭が漂ってるのよ。きっと大きな報酬を生むに違いないわ。アイスクリーム代を稼ぎたいなら、私と組みなさい」  「え? 先輩、マジですかあ……」  俊平は、辛そうに皺を寄せて目を閉じた   了 .
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