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   「あんな小さな子がいては、家を空けられないな」  保はそう言うと双眼鏡をで坪内家の玄関に向けた  「先輩の言う通りかも知れません」  俊平は、短く答えると深呼吸をして空を見上げる。空には多くの積雲が浮かんでいて、ときおり陽光を遮る。そのたびに公園に大きな雲の影が落ちた  静かな昼下がり。そよ風が木々の梢を気持ちよさそうに揺すっている。保は茂みを出ると楠の幹に寄りかかって煙草をふかし始めた  「なあ俊平。あんなに可愛い子の母親が不倫してるって、ミスマッチだとは思わないか?」  「僕も最初はそう思いました。でも学校の体育館裏で柏木先生と親しげに話す姿を見て、『あり』なのかなって思ったんです。美しく純粋そうな人でも、心の中でどのような化学反応が起きているか分かりませんからね」  保は一言「なるほどね」と答えた .
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