プロローグ

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そして、東が朱音の訃報を耳にしたのは彼女の後ろ姿を見送った日から約二年後の東の高校の卒業式の日だった。 東は静かに目を閉じ、初めて朱音を見た時のその姿を思い出していた。 彼女は肩より少し下まで伸ばした髪を風に靡かせていた。 季節は春、桜が満開だった。 東は蕾を膨らませあと一息でやって来る春の訪れを待つ桜の木を見上げつつ静かに涙を流した。 (朱音先生…あなたは幸せでしたか?)
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