ホワイトスターライン社

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イズメイ社長が部屋に入ってきて、一礼した。 「我がホワイトスターライン社へようこそ」 彼はそう言うと、要項の書いた書類を一枚ずつ手渡した。 「我がタイタニック号は1912年4月10日に、サウサンプトン港からアメリカニューヨークへ向けて処女航海に旅立ちます。あなた方はその航海中、船客を楽しませるためにその一流の演奏をしていただければ良いのです。きっと新大陸へと渡る方々が口をそろえて言うでしょう。タイタニックは音楽あふれるすばらしい船だ、と」 イズメイ氏は雄弁をふるった。 8人の楽団員たちは誇らしげな顔をしている。 話のあとに、ウォレスが指揮をとることが決まった。 その彼が持っている希な才能が認められたのだ。 こうして、彼らがタイタニック号へ乗る手はずが整った。 それは栄光への旅となるはずだった。
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