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ウォレスたち、楽団員は二等船客としてタイタニック号に乗り込んだ。
桟橋を渡るときの心の高揚感は形容しがたいものであった。
(遠くから見てもあんなに大きかったんだ。真下から見ると、どんな建物よりも大きく見えてしまうよ。周りの船もおもちゃみたいに見える)
ウォレスの興奮は最高潮だ。
思わず、バイオリンケースを落としかけた。
(おっと、あぶない!)
一張羅の服を着込んだ楽団員たちは二等のエントランスに入った。
「あれ……!?」
ウォレスは思わず声が漏れてしまった。
一瞬、一等に乗ってしまったかと思ったのだ。
絨毯がきれいに敷き詰めらていて、何しろ雰囲気が違った。
おそらく前の船なら間違いなく一等だっただろう。
だが、この船はちがった。
スピードよりも、乗り心地を重視していたが故、何から何まで、良くしていたのだ。
この様子だと、一等はどんなにすばらしいところなのだろう。
彼らははやく、一等のスペースで演奏したくてたまらなかった。
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