149人が本棚に入れています
本棚に追加
一等船客が乗り込んできた。
ウォレス率いる楽団はエントランスで、演奏を始めた。
響きわたるバイオリン。そして調和。チェロやピアノがそれを引き立てる。
乗船してくる一等船客を見るのもウォレスにとっては楽しかった。
羽付き帽子をかぶり、いかにも高そうなカバンを召使いにもたせて乗船するご婦人方。
黒のスーツに身を包み、軽快な身なりで乗船する紳士たち。
ウォレスは上流階級に憧れていたのだ。
(いつかマリアを連れて、こんな船のスイートルームに乗るんだ)
ウォレスは夢を頭に描いた。
最初のコメントを投稿しよう!