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エントランスでの演奏を終え、ウォレスは自分の二等船室に戻った。
しばらくたち、外から錨をあげる音が聞こえだした。
(いよいよ出航だ!)
ウォレスはわくわくしながらその時を待った。
そして、タグボートに引かれて埠頭から大きな船体が動き出した。
少し船内が揺れたが、興奮しているウォレスにとっては関係なかった。
埠頭を離れ、一度止まった。
埠頭ではたくさんの人がタイタニック号を見送っている。
皆が大きく手を振り、それにタイタニック号の乗客たちが応えていた。
煙突からもくもくと黒い煙があがる。
それに応えるかのように歓声があがる。
ウォレスの興奮は最高潮に達していた。
そして、いよいよタイタニック号は最初の寄港地、フランスのシェルブールに向けて、走り出した。
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