1912年4月10日

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エントランスでの演奏を終え、ウォレスは自分の二等船室に戻った。 しばらくたち、外から錨をあげる音が聞こえだした。 (いよいよ出航だ!) ウォレスはわくわくしながらその時を待った。 そして、タグボートに引かれて埠頭から大きな船体が動き出した。 少し船内が揺れたが、興奮しているウォレスにとっては関係なかった。 埠頭を離れ、一度止まった。 埠頭ではたくさんの人がタイタニック号を見送っている。 皆が大きく手を振り、それにタイタニック号の乗客たちが応えていた。 煙突からもくもくと黒い煙があがる。 それに応えるかのように歓声があがる。 ウォレスの興奮は最高潮に達していた。 そして、いよいよタイタニック号は最初の寄港地、フランスのシェルブールに向けて、走り出した。
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