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「逢紀ー何かすることないか?」
気だるい声が部室に響く。
すでにゴールデンウィークの色々な会話が露と消えていった頃、俺は五月病と思われる症状がでていた。
「そうだねー、純一が何かしてくれたら考えるよ」
机に突っ伏している同級生部員、名倉逢紀が俺と同じ様に気だるい返事をする。
「何か、ね……」
「んでどうせなら科学部らしいことをしようぜ」
「あ、そうだ」
俺は部室の隅にある掃除ロッカーを開く。そしてその中からなぜか入っている金属バットを取り出す。
「どうするんだそれ?」
「これで逢紀の骨の硬さを調べよう」
バッターボックスに入ったかのように、逢紀の横でバットを構える。
「お、いいね。ついでに骨の治り方もわかる……って殺す気か!」
さすが逢紀、どんな状態でもノリツッコミをしてくれる。
本人曰く「たまにボケてくれる方がありがたい」とのことで、俺はこうやって逢紀をいじってよく楽しんでいる。
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