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カバンの中から、糸と針を出し、ナイフで濡れている服を切り裂いた。
少女にあう服を作ってやらねば、町に入るときに不都合が起こるかもしれないからだ。
結論を出した。
町に寄り、商人に「商品」返さなければならない。
丁重な扱いをすればたぶん大丈夫であろう…
自信はないがやるしかないだろう。
気が付けば、日が昇っていた。
「ん…」
少女もタイミングよく起きてくれた。泣きそうな目をしていた。
「大丈夫か?」
少女はうなずく。
「これは君の服だ」
作った服を少女に手渡すと、目を輝かせながらこちらを見つめる。
「私は少々森で採取してくるから、その間に着替えておいてくれ。体が汚ければ川の浅瀬で洗うといい。タオルは渡しておくよ。行ってくる」
少女は、勢いよく頷く。
こんな扱いをされてうれしいのだろうか、よく分からない。
少々森を散策すると、赤色の群生キノコを見つけた。
食用可能な品種を見つけて、ホッと一息つく。少女に何も食べさせないわけにもいかないと思っていたからなおさらだった。
十個ほど収穫し戻る。
戻ってみると、少女はまだ着替えている途中であった。
いけないと思い木の裏で待とうと振り向く瞬間に、彼女の背中に不思議な模様があったのに気が付いた。
大きな呪印のように見えた。それは、声の呪印ではなくもっと種類が別のものである。
気にはなったが、女性の着替えをまじまじと見るのは失礼と木の裏に隠れる。
そろそろと思い、キャンプ戻ると少女は座って待っていた。
抱えていたキノコを置き焚火の準備をしながら
「服のサイズあっていたか?」
と聞くと少女は頷く。
「それは良かった。そこのキノコを食べたらグラスバイに入ろうか」
その瞬間少女は悲しい顔をした。やはり嫌なのだろうが、このままにする訳にもいかない。
胸を痛めながら準備を進める。
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