第零章

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翌日からトレインにとって地獄の日々が始まった。薄暗い地下室に監禁され、食事は一日一回、風呂やトイレも無い。 地下には食事を持った侍女が一日に一度降りてくる他は殆ど誰も来なかった。数日に一度、短い時間ミラが来て話をするだけ。 ミラの話によるとティアや他の四大貴族、王族には魔力の乱れにより意識不明の重態と伝えられていた。魔力が乱れている人間に近付くと、近付いた人間の魔力も乱れ、下手をすると命にも関わるので面会も一切遮絶されているらしい。 「ごめんなさい、トレイン。私に力があればあなたを出してあげられたのに」 「謝らないでください、母上。母上にはなんの責任もありません。全ては力の無い僕のせいですから」 トレインは言葉通り全ては自分のせいだと思っている。 貴族は民を守り、そのかわりに贅沢な暮らしが出来る。ならば力の無い貴族には贅沢な暮らしをする資格などないのだから。 地下での生活では暇が有り余っていたので、ミラに頼んで様々な本を読んだ。魔法の基礎に始まり、癒術、薬術など、無属性魔法に関する魔法書を読みあさった。
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