第零章

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「いや…あなたなんかお兄様じゃない!!」 ティアは泣きながら叫ぶと部屋を飛び出してしまった。 「ティア!」 ミラもその後を追っていく。 そちらには見向きもせずグレイはトレイン"だった"少年に告げる。 「貴様にはもう存在価値は無いがせめてもの情けだ。ここでは殺さん。転移魔法で死の森に飛ばす。運さえあれば生き長らえることも出来るだろう」 死の森。ランクA以上の魔物が多数生息しており、ギルドランクS以上の者しか入ることが許されない魔境である。 「そうですか」 少年はそれを受け入れた。抵抗に意味などないと分かっているからだ。 「グレイ様、ダイト様、今まで育ててくれてありがとうございました。母上とティアにもありがとうございましたと伝えてくれると嬉しいです。トレイン様、ティアのことよろしくお願いします」 少年は深々と一礼する。 「ではさらばだ」 一言無感情に告げるとグレイは転移魔法を発動。次の瞬間には少年の姿は消えていた。
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