第零章

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それから数分後、居室の扉がノックされる。 「失礼いたします。旦那ーーー「生まれたか!?」ーーーはい」 侍女の言葉を遮りグレイは問い掛け、返事を聞くと猛スピードで部屋を飛び出した。それを見てダイドも苦笑いしながら後に続く。 ミラがいる隣室の扉を勢いよく開き部屋に飛び込むグレイ。そこには若干の疲れをにじませながら"二人"の子供を抱くミラの姿が。 「ミラ!よく頑張ったな!」 「ありがとう、アナタ。子供達は二人とも元気よ」 「二人?ということは双子か?」 言われたグレイは改めて子供達の姿を見る。 一人は男の子、そしてもう一人は女の子だった。 「双子とは予想外だったな。どちらが先に生まれたんだ?」 「男の子の方ですよ。それよりアナタ、この子達に早く名前をつけてあげて」 「おう、そうだったな。実はもう考えてあるんだ。男の子はトレイン、女の子はティアだ」 「そうですか。どちらもいい名前です」 そう言って二人は子供達を見て微笑みあう。二人にとってこのときは幸せの絶頂といってよかった。そのまま長い間、子供達を見て過ごす二人だった。
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