第零章

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ティアの手が魔水晶に触れると同時ーーー魔水晶が蒼い光を放つ。 「蒼い、光?お父様、これは…?」 ティアの声には僅かながら不安が含まれていた。 もしや『フレイミア家』に生まれながら火属性が使えないのではないか?そんな思いが頭を過ぎったからである。 しかしグレイはそれに気付かないほど驚いていた。 「馬鹿な…蒼炎だと…」 目を見開き、文字通り開いた口が塞がらなくなっている。 「あの、お父様?」 再度ティアに呼び掛けられ、グレイはようやく気付いた。と、同時に、グレイはティアを抱きしめていた。 「凄いぞティア!まさか蒼炎属性とは!流石は私の娘だ!!」 「蒼炎属性、ですか?」 一方ティアの方はなんのことだか分からないようだ。頭上に疑問符を浮かべていた。 そしてそれはトレインも同様だった。 「あの、父上?蒼炎属性とはなんのことですか?」 トレインの声を聞いてようやくグレイは落ち着いた。 「すまんな。つい興奮してしまった」 「いえ、それはいいのですが…その…」 「あぁ、蒼炎属性についてだな」 グレイは一息吐くと説明を始めた。
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