第参章

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「それじゃ今日はここまで。じゃあな」 それだけ言ってキースは教室から出て行ってしまった。絶句していたリリアーヌが声を取り戻した時にはもう遅かった。 * * * * * * * * * * * * * * * ---帰り道。 今レインはリリアーヌ、ティア、アリアの三人と寮に向かっていた。教室からずっとリリアーヌが挙動不審だ。相当意識しているようだ。 かくいうレインも何も感じてないわけではないが護衛の都合上こうなることは予想していた分ダメージが少ない。そのおかげで平静を保てていた。 「リリア。いい加減落ち着きなさい」 流石に見かねたのか、呆れ声でティアがリリアーヌに声をかける。 「大丈夫よ。彼は危ない人には見えないし」 一応彼に聞こえないよう声を抑える配慮をしている。 (丸聞こえだけどね…) 人より五感が優れている彼にとっては無駄な配慮だが。 「た、確かに私も彼が危険だと思ってるわけじゃないけど不慮の事故とかハプニングとか出会い頭の事故とか---」 リリアーヌも小声で、かつ一息で早口で言葉を返すが 「リリア、それ三つとも同じ意味よ」 全然落ち着いていなかった。 その後もティアとアリアの二人はなんとかリリアーヌを落ち着かせようと言葉をかけ続ける。その間レインは一歩後ろを黙ってついて行った。
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