第零章

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魔水晶は確かに光を放った。しかし、色がついていなかった。無色透明な光なのである。 「父上、これは…?」 トレインが問いかけるもグレイはまたも呆然としている。しかし、先程とは意味合いが180゚違った。 「無色透明な光だと…?それではトレインは…」 小声で何かを呟いていたが兄妹には聞き取れなかった。 「あの、父上?」 「………………トレイン、ティア。部屋に戻ってなさい」 「え、でも…」 「いいから。何故トレインが無色透明なのかは調べておくから部屋に戻りなさい」 「………分かりました。失礼します」 トレインは頭を下げると部屋を出た。追いかけるようにティアも頭を下げ、部屋を出た。 大人達だけになった部屋を長い間静寂が支配した。誰も何も話さず押し黙っている。 静寂を破り、声を発したのはダイトだった。 「無属性の落ちこぼれ、か」 呟くようなダイトの言葉にグレイが続く。 「えぇ、残念です。トレインには期待していたのですが」 グレイの言葉には先程までの親が子に向ける感情が一切籠められていなかった。冷たさだけが籠められていた。
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