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『──ラァッ!!』
「──はぁっ!」
青い拳と白い脚が、互いの腹に叩き込まれた。
「か……っ」
重たい衝撃が全身に伝わり、肺から息が漏れる。
だが、攻撃を受けて痛いと感じるのは、攻撃を受けて怯んだのは、相手も同じはずだ。
だから。
「うおおっ!」
すぐに次のモーションに移り、掌で敵を突き飛ばした。
五、六メートルは飛んでいった敵だが、それほどダメージは与えられなかったらしい。
何事もなかったかのように着地をすると、敵──パープルスター幹部の一人であるムラサメの変身する騎士、ライガードナイトは、フフン、と鼻を鳴らした。
『なんだよ。こんなもんか? テメェの実力ってのはさぁ!』
挑発を受けて、青と金の鎧を装着し、月光の奏者ムアルとなった彼__ルナッセ・フルムーノがムッとした声を出す。
「随分余裕であるな。前に私にコテンパンにやられたくせに」
『さぁて、なんのことか、な!!』
言葉尻に力を入れると、一気にライガードナイトが駆け出してくる。
腕を限界ギリギリまで引いたあの構えは、奴の最大にして最強の武器である腕の爪を使うためのものだろう。
確かにあれは強力だが、以前に攻略してしまっている。一度破った技にわざわざ当たるような真似は、いくらルナッセでもしない。
「失敗を認めない大人はみっともないであるよ!」
月夜のフルートと呼ばれるアイテムを召喚し、演奏をする。
今が戦闘中であるということを忘れるほどに優雅な旋律を奏でるそれは、彼の指の一本一本を黄金色の光で包んだ。
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