庭球<山吹>編

2/5
前へ
/169ページ
次へ
亜久津仁<甘> [雷の夜] そろそろ寝ようという頃合いで雨が降ってきやがった。 しかも雷まで鳴りだして、近くに落ちた。 途端、背後から小さな悲鳴が聞こえた。 振り向くと、耳を押さえて縮こまってるアイツが目に入った。 俺は舌打ちすると、アイツを抱き上げてベッドに放り込んだ。 目を瞬かせるアイツに毛布をかぶせ、その上から抱き締めた。 アイツは一瞬身体を強ばらせたが、すぐに力を抜き俺に身を預けた。 しばらくして聞こえてきた寝息に、俺は鼻を鳴らした。 ったく、これくらいで一々面倒くせぇ。 けど……こんなんに惚れちまったんだから、ホントどうしょうもねぇ。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加