婆娑羅編

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猿飛佐助<甘> [嬉しい夜更かし] 仕事が終わって部屋に戻ると、あの子が起きて待ってた。 時刻としては立派な真夜中で、完全に夜更かしだ。 全く……。俺様はため息をついてあの子の側に行く。 布団から半身を起こし本を読んでいたあの子は、俺様を見ると嬉しそうに笑った。 「お帰り」と、「お疲れ様」を言って……。 言われた俺様は再びため息をついた。さっきのは呆れてだけど、今回は諦めだ。 だって、目の下に隈作っても待っててくれて、お帰りなんて言うんだよ? 卑怯だよね。俺様が降参するしかないもん。 不安げに俺様を見上げるあの子に、俺様は笑顔で「ただいま」と言った。 それだけで満面の笑みになるあの子に、俺様は口付けを落とした。
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