25人が本棚に入れています
本棚に追加
前田慶次<切甘>
[恋はいいもの]
いつの間に寝ちまってたのか、目を覚ますと辺りは真っ暗だった。
机に俯せてた俺は目を擦りつつ身体を起こすと、背後に気配を感じた。
振り向くと、そこには羽織りを持ったあの子がいた。
どうやら眠った俺にかけてやるつもりだったらしい。
礼を言うと、あの子は困ったような笑顔で言う。
「風邪をひかれては困るから」って。
それだけで、俺の心は温かくなった。
こんな感情、ねねが死んでからは……初めてだった。
俺は再び礼を言うと、あの子の腕を掴んで引き寄せ、唇を合わせた。
あぁ……やっぱ恋ってのはいいもんだな。
最初のコメントを投稿しよう!