混迷

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そのまま夜明けまで二人は死んだように眠り、目覚めてからは何も無かったように朝食を済ませ一緒に部屋を出た。ただほとんど言葉を交わさず無言ながらも、しばらく会わない方がいいと暗黙の合意が成り立っているのがわかった。 駅まで一緒に歩き、じゃあと挨拶程度を言って方向が違うそれぞれの目的地への電車に乗った。 疲れも眠気も一切残っていなかったが昨日の今頃から始まったなんとも理解し難い現象に心に重しが乗っているような俯き気味の彼だった。
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