1384人が本棚に入れています
本棚に追加
/899ページ
樹の部屋
スケジュール手帳を眺めこのあとのことを考えた。
といっても眺めているだけで、本当はその向こうの携帯を気にしていた。
(篤史さんに…報告がてら電話しようかな…)
そう思うも迷う。
これといった報告も用事もないのに…電話してもし呆れられたら。
そんな風に考えてしまうと掛けられずに固まった。
そんな時部屋の扉をコンコンと小さなノック音がした。
(誰かしら…)
「はい…?」
『…俺…』
「俺?って誰?」
『俺は俺だよ!!』
(あぁ…滉くんね…)
「どうしたの?」
ドアを開けず聞いた。
『ちょっとお願いがあってさ…』
らしくなく小声で話す滉に訝るも、そっと開け覗いた。
小さな隙間に指を入れ少し強引に入って来た滉。
「お前…パソコン持って来てるか?」
と当たり前のようにズカズカ入ってしまった。
「えぇ…まぁ…」
「貸してくれよ!!」
中まで勝手に入り、テーブルの上に置いてあるパソコンを立ち上げた。
慣れた手付きでキーを叩き
「おっ♪いいこにしてるな♪」
そう言って笑った。
「何見てるの?」
私は何気なく気になり彼の隣に座り画面を覗いた。
その中にはリビングらしき場所で丸まり眠る姫の姿が映っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!