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「電話…誰なんだよ…?」
ホッとしたのも束の間、携帯を片手にした私の背後に滉が立っていた。
「あ…サクヤさんが曲出来たから聴いて欲しいって…」
「へぇ…で?」
「え…?あぁ…今夜聴かせてもらう約束したわ…」
「ふ~ん…」
気まずい沈黙
顔も見合せず二人の会話は途切れた。
「あっ♪イッちゃんお疲れ様♪
次の現場すぐだったよね?早く行こ♪」
「そうね…」
後から現れた慎二のおかげで沈黙が解かれた。
ホッとしている自分
こんなにも滉とのやり取りに力が入ってしまっている自分に気付く。
割り切ればなんてことない
なんてことないのに…冷静に対処出来ないほど、滉の視線は私をかき混ぜてくる。
慎二に背を押され滉が楽屋へ向かう姿をチラリと盗み見た。
同時に振り返った滉と一瞬目が合う、私は急いで目を逸らしていた。
振り返り見た樹
一瞬視線がやっと絡み付いたかと思いきや…。
「…!?」
あからさまに逸らされた。
俺の心は酷く痛み、苦しく潰された。
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