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「まだ…若い女が会社で寝泊まりして…男無しじゃ寂しくてつまらないだろ?だからさ…」
「…バカにしないで」
「え…?」
「私は男に困ってもいない、今をつまらないとも思ってない…寂しいなんて全然思ってないから…。
だから…同情や興味本位で抱かれるなんてごめんよ!
セックスしなきゃ仕事が頑張れないと言うのなら…あなたはそれまでの男…。
もししたとしても…今以上売れるとは思えないわ!!」
キッと睨み付け
「どいて!」
と彼の胸を押した。
少しよろけ二人の間に隙間が生まれた。
その隙に私は彼の前から立ち去ろうとしたら、手首をガシッと捕まれた。
「なら…同情でも興味本位でもなく…もしアンタのことをオレが好きになったら…そん時はどうするんだ?」
「…」
背中で無言の返事をした、それも構わず
「なんの見返りもなくただアンタのことを好きになったとしたら…そん時はどうしてくれんだよ?」
「どうもしない…」
「なっ!?」
「タレントと…その担当者がそういう関係になるのは止めたの…」
「止めた?」
「虚しいだけよ…」
「虚しい?」
馨の手の力が一瞬緩んだ、私はそれに気付き彼の手を振りほどいて走り去った 。
1人残され床を見つめた。
(止めたって…前はしてたのか?誰と…あっ…もしかして…)
小さく湧いた思い当たること、すぐに樹の姿を探したが…暗い廊下にもう樹の姿は見えなくなっていた。
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