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「えぇ…」
私は面倒くさげに答えると
「そっか…」
とだけ返し無言で立ち尽くしていた。
滉の前を悠然と歩き部屋の鍵を開けようとしたら。
「お前…馨と会ってたのか?」
「えっ?」
(どうして…?)
いきなりの問いに少し戸惑った。
そんな私に彼はゴミ袋を落とすと近付いて来た。
ドアの前で身を固め滉の動向を窺ってると。
クンクン!!
私の周りを鼻をひくつかせ“やっぱりな!”という顔をして見つめてきた。
「馨の香水の匂いがする…アイツと何してたんだよ?」
「な、何って…何も…」
「何もねぇのになんで匂いがすんだよ!」
何がなんだかわからず戸惑ううちに滉は眉間に皴を寄せ声を荒げた。
「知らないわよ!!」
「そんなわけねぇだろ!!アイツと何かしなきゃこんな風に匂いが付くわけ…!!」
「あなたに関係ないじゃない!」
理不尽な責めに私の声まで荒くなった。
「何!?」
「私が誰とどうしようがあなたに関係ない!!」
「な………関係なくねぇよ!!」
そう怒鳴った滉の手が私を責め、追い込むようにドアを叩き止めた。
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