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「ねぇ…イッちゃんはさぁ…どんな男がタイプなの?」
「プッ!いきなり何?」
「クールタイプ?俺様タイプ?それともワンコタイプ?どれ?」
屈託のない瞳が私を見る。
「それ…自分たちのこと言ってるの?」
「まぁそんなとこ!!で、どれ?」
「どれでもないわ」
「えぇ!?なんでぇ?」
唇を尖らせ拗ねる慎二。
「私の好きなタイプは…どれにも当てはまらない…
そんなもので括れるような人じゃないわ…」
「それって…誰のこと?」
「えっ?なんでもないわ…」
慎二の真っ直ぐな瞳にいたたまれず、タバコを揉み消し足早にその場を去った。
宴会場に戻ってもまだ続いていた。
滉や馨はスタッフに囲まれていたため、大丈夫だと思い私は自分用の部屋に引き上げることにした。
会場を出て行く樹の姿を見た慎二が席に戻ると。
「慎…アイツ知らねぇか?」
すぐ傍まで来ていた滉が訊ねてきた。
「さっき出ていったよ?多分部屋じゃないかな?」
「そっか…」
そう言うと周りをチラッと確認し
「俺も抜けるわ…後よろしく…」
と出て行ってしまった。
「アキくん…イッちゃんのこと好きなんだ…」
もう1人が気になり目を向けると、慎二の視線に気付いた馨と目が合った。
すると、会場を出て行く滉の背中を見つけ一瞬目を細めた馨。
「どうなっちゃうのかなぁ…なんか雰囲気悪いよね…」
困惑気味な慎二は大きなため息を一つ吐いた。
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