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姉の墓参りを終え、私はやっと会社に着いた。
私が日本を離れる前とは全く違う大きな社屋。
たった数年でこんなに大きくなっていたんだと感心した。
(これもきっと、全て篤史さんの力なんだろうな…)
そう思った。
受け付けで名前を告げるとすぐに男性が現れた。
いかにも真面目そうな細身のスーツを纏った体育会系の短髪の男。
「私は安田と申します。マネージャー全員の業務を統括しています。よろしくお願いいたしますね」
優しそうに笑った彼は、人柄がそのまま溢れているように感じた。
私も丁寧に彼に返し挨拶をした。
「じゃあ行こうか?」
綺麗に揃えられた指先に従われ、私は彼と一緒にエレベーターホールに歩んだ。
安田さんは、最上階のボタンを押す。
「まず社長に会ってもらうね」
「はい」
冷静そうに返事したが私の心臓は躍った。
(彼に会える…やっと…)
長年想い続けた相手に会える喜びに私は身体が熱くなるのを感じながら、顔は無表情で通した。
扉が開く寸前、安田さんが簡単にこれからの業務を教えてくれた。
「藤島君に担当してもらうタレントは僕が前に担当してたんだ。
3人もいるからそれなりに忙しいと思うけど頑張ってね」
「はい…頑張らせていただきます」
そう言い切った時、エレベーターの扉が開かれた。
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