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パーティー会場で明るく高い笑い声が耳に入って来た。
気になり見ると、後ろ姿しか見えなかったが…自分と同い年くらいの少女は隣に並び立つ綺麗な人の横ではしゃいでいた。
(楽しそうだな…よくこんなパーティーではしゃげるよ…)
うんざりした俺は会場を出て外の空気を吸いに向かった。
冬の空は晴天で澄みきった空気が旨かった。
庭に1つだけあったベンチに腰を下ろし、寝そべって空を仰ぎ見る。
(これから…どうやったら親父の力無しに生きていけっかな…)
父と同じ事務所には入りたくない。
でも…どうしたら芸能界でやってけるかなんて見当もつかない。
俺は誰に邪魔されることもなくベンチで不貞腐れていた。
「あぁ♪楽しかった♪」
可愛らしいドレスを身に纏った樹は、はしゃぎ過ぎた疲れを癒しに外に出た。
綺麗に刈られた芝生の庭に出ると…天気は良くても冬の寒空の中ベンチで寝そべる男の子を見付けた。
「あんなとこで何してるのかな?」
不思議に思い好奇心が沸いた。
疲れを癒すことも忘れ樹は男の子の傍に駆け寄ろうとした。
その時
『ミィ~』
どこからか子猫の鳴き声が耳に入って来た。
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