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草むらで子猫を見付けた。
ブルーグレーの毛並みはどう見ても捨て猫には見えなかったが…首輪がない。
「迷子かな?おいで?」
手を差し伸べると子猫は素直に樹の手に擦り寄った。
「いい子♪」
子猫を抱き上げ先程の男の子のもとへ向かった。
近くに行っても気付かないのか…ジッと空を見つめたまま動かなかった。
(えへっ♪ちょっと驚かしちゃお♪)
樹はそっと近寄り、滉の顔の目の前に子猫を掲げた。
「うわっ!!」
ビックリして飛び起きた滉。
その反応に満足気に笑う少女の存在に気付いた。
「な、なんだよ!?」
虚勢を張り語気を強めで切り返した。
「この子可愛いでしょ?」
子猫をズィッと差し出し笑顔を見せられた。
「あ?あぁ…まぁな…」
「ほら♪」
また少女は子猫をズィッと差し出してくる。
滉は勢いに負け子猫を受け取ってしまった。
『ミィ~』
子猫は滉の腕の中でまた可愛く鳴いた。
「なんかつまらなさそうね?」
俺の隣に当たり前のように座った少女。
見知らぬ男が怖くないのか?と思った。
「あぁ…つまんねぇな…」
「じゃあこの子見たらつまんなくない?」
無邪気に笑顔を見せ俺の顔を覗き込んできた。
「あぁ…まぁ…可愛いしな…」
真っ直ぐに向けられた笑顔に少し照れた俺。
照れ臭くなり赤い顔を見られたくなくて子猫に目を向けた。
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