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ジロジロ見られて更に照れてきた。
(結構可愛いし…笑顔ヤバいし…)
そんな俺の心中なんて全く気付きもしない少女は、子猫の行く末が安定したのを安心したのか違う話題を振ってきた。
「ねぇ?あなたって…ここにいるってことは父さんの知り合いなの?」
「あ?あぁ…社長の知り合いっていうか…俺の親父が社長の友達みたいでさ、おまけで来たって感じだな…」
「へぇ~」
感心したように少女は頷いた。
何に感心したのか、俺は彼女を不思議に見つめた。
そんな時
『いっちゃん♪どこ?』
『樹!帰ってらっしゃい!』
透き通る声が誰かを呼んだ。
その後に母親らしき声がまた呼んだ。
その声に反応して
「はい♪ここよ♪」
と隣の少女が返事した。
「もう行かなきゃ♪じゃあね♪」
樹と呼ばれた少女は俺に満面の笑みを見せると元気に走り帰って行った。
後ろ姿を何気なく見つめた。
笑顔が可愛くて…俺の心に何かが芽生えた。
そんな気持ちで見つめ続けていたら
『ミィ~』
腕の中の子猫がまた鳴いた。
頭を優しく撫で
「よろしくな♪姫!」
新しい同居人に挨拶をした。
屋敷に消えた樹の姿をまた追い見る。
初めて感じた胸のドキドキが俺にとっては忘れられない思い出の日になった。
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