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仕事帰り、慎二と馨は近くのコンビニに寄り歩いて事務所ビルまで帰って来た。
表玄関が閉まっているため地下駐車場の入り口から入ろうと坂を下ると、ちょうど車から降りる樹と滉に出会した。
「あっ♪イッちゃん!」
慎二が嬉しそうに二人に駆け寄った。
「おぅ慎と馨か♪」
運転席のドアを閉め、いつもより機嫌の良い滉が気付いた。
「二人で何処行ってたの?」
屈託のない笑顔で慎二が訊いた。
「まぁ…何処だっていいだろ?」
ちょっと仏頂面になり滉が言い難そうに答えた。
「……」
馨は二人の顔をジッと見た。
(アイツ…目が腫れてる?)
樹の目元、そして滉の微かに垣間見えれる機嫌の良さが気になった。
「えぇー!!もしかして二人でデートしてたの?僕たちは仕事だったのにさ!!」
慎二が唇を尖らせ拗ねたふりをした。
「ち、違うわよ!!会長の家に呼ばれてただけ!!デートじゃないから!」
慌てて取り繕う樹の姿に訝った。
「……」
オレはまだそんな樹をジッと見た。
その視線にやっと気付いたのか、彼女はオレから目を逸らした。
「もう遅いわ!!早く帰りましょう!」
これ以上突っ込まれたくないんだろう。
滉の背を押しこの場から早く立ち去ろうとしたいのがわかった。
オレには二人の仲が…少し何か変わってきたことに気付いてしまった。
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