1385人が本棚に入れています
本棚に追加
/899ページ
一時、滉の部屋で姫と戯れ心が和む。
柔らかい毛並みを撫で私は考えた。
(この子をきっかけに…滉くんは私を好きになったと言ってくれた…。
別に…大したことはしてないのに…私のどこがいいのか…)
彼が好きになってくれた理由がわからなかった。
(好きになった理由…。私が…篤史さんを好きになった理由はなんだろう…。
格好いい見た目?それとも…姉さんに対する優しいとこを見たから?
うぅん…初めて会ったあの日、挨拶をした後向けられた微笑みが綺麗だったから…。
そして…その微笑みは姉さんに向けられたものだったから…)
醜い嫉妬
姉さんの物を欲しがる醜悪な私。
私の中の汚い悪魔は…あの日目覚めた。
どうしても篤史さんが欲しかったのだ
姫を撫でながら姉さんの部屋で向けられたあの視線を思い出す。
冷たく責める視線。
気持ちが再び沈み、撫でる手が止まった。
「そろそろ帰るわ…」
「えっ?もっと居ろよ!」
「随分時間も遅いし…そんな訳には…」
1人になりたくなり、そんな遅くもないくせに理由を付けた。
『ミャウ~』
寂しそうに鳴く姫をソファーに下ろし、私は立ち上がり玄関に向かおうと踵を返したら...背後から優しく滉に抱き締められた。
.
最初のコメントを投稿しよう!