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滉の長い腕が私を包んだ。
温かいその腕は必死に私の心を鷲掴もうと力が籠る。
「もっと…一緒に居てえ…」
滉の囁きが耳をくすぐる。
「…」
「いいだろ…?」
「ダメ…これ以上は…」
「なんで?」
「昔の私たちとは…今は違うのよ…?
なんのしがらみもない…ただの子供だったら居てもいいかもしれない…。
でも…今のあなたはタレントで…私はそのマネージャーなんだから…」
「なんだよ…その理由?」
「けじめの問題…」
「はぁ?どう俺たちの間にけじめなんているんだよ?」
滉が腕を緩め、向き合うように体を反転させられた。
「仲良くなりすぎちゃダメってこと…
仕事仲間であって…友達じゃないんだから…」
私は顔を背けた。
「俺は…お前と友達になろうなんて思ってない!」
肩を掴む手に力が入った。
「…」
「俺は…お前と恋人になりてぇんだよ…。だからもっと一緒に居てえって!!」
「…だったら…尚更帰る…」
「えっ!?」
「担当のタレントに変な噂が流れでもしたらイメージダウンになりかねないから…」
「変な噂って…俺とお前が一緒にいることが変なことだって言いたいのかよ!?」
「スキャンダルの種になるようなことはしない方がいいって言ってるの!」
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