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「そんなわけないじゃない!!」
樹は激高した。
「あなた何なの!?私をそんなにいたぶって楽しい!?」
馨の襟元を掴み怒りを顕にした。
「楽しいわけないだろ…楽しくないから責めてるんだ!!」
真っ直ぐ樹に向き合い、馨も感情を顕に見せる。
「はぁ!?」
「オレが、アンタの心も身体も…寂しさから逃れさせてやるって言っただろ!!
なのに…なんで滉なんだ!?
社長に似てるからとしか思えないだろ!!」
拘束された身体を反転され、ドアと馨に挟まれた。
数ミリも許さない二人の身体が密着する。
目の前の馨の唇が怒りに震えるのが見えた。
「好きなんだよ…こんなに誰かを欲しいと思ったことは初めてなんだ!!」
呟き震える唇が…もう目の前に迫っていた。
「やめて!!」
顔を背けると、空振りした唇が耳に当たった。
「ん…!!」
感触に声を思わず洩らしてしまう。
「どれだけアンタが拒もうが…アンタの顔は寂しさで溢れてるんだよ…。
こんなに瞼を腫らしてまで…なんで社長じゃなきゃいけないんだ!?」
馨はそのまま耳元で絞り出すかのごとく呟き囁いた。
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