始まり

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  中は漆黒と静寂に包まれていた。湿気が多く、じめじめして気持ちが悪い。 「まず、人形を作ろう」 私は家から持ってきた人形を取り出した。夏樹は人形の腹を裂き、綿を取り出した。 「何か…やだね‥」 「うん‥」 腹の中に米を詰め込んだ。 次に、爪をはさみで切って容れた。 赤い糸で縫い綴じる。 異様な人形が出来上がった。 「出来たよ…、早く隠そう‥」 夏樹が人形を持つ。 皆が歩き出そうとした時だった 「待って…、 ―…‥何か聞こえない??」 ドクンドクンドクンドクン 美沙が静かに呟いた。 私達は耳をすました―…‥ カン‥‥カンカンカン、カンカン…カン ギィイイィイイイイ―…‥ 逃げなければ 逃げなければ 逃げなければ 「来た―…‥!!!!」 「まだうちら隠れんぼして無いのに…!!」 「いいから早く!!逃げながら人形隠すよ!」 私達は音から逃げるように廃墟の廊下を駆けていった。
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