始まり

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「―…香織」 「何…??」 「ありがとう」 突然、いつも辺りには強気の態度だった夏樹が言った。 それは夏樹の本心。 「どういたしまして。」 こんな危険な遊びをしているのに、何だか優しい気持ちになった。 だが、気持ちとは逆に二人が進む先は仄暗い無音空間だった。 緑色の蛍光灯が照らす廊下へと二人は再臨していた。 「…ねぇ、どこら辺に落としたとか覚えてる??」 夏樹は首を左右に降った 「ごめん…」 「大丈夫だよ…多分まだ落ちて――……、」 香織の言葉が途絶え、視線が廊下の向こうを捉える カン―…カン―カン―カン―カン―… 何かがゆっくり近付いてくる 規則的な音をたててゆっくり 「―………ひッ!!」 夏樹は後退した 「まって…アイツが人形を持ってるかもしれないわ…」香織はどうやって人形を奪うのかを考え始めた そうした中でも尚、動きを止めない化け物の腕には― 無情にもその人形があったのだった―…。
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