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古ぼけた事務室が、その町にはありました。
ガラス窓の扉には、こんな張り紙があります。
「バクの夢喰い相談所
未来、現在、過去、どんな種類の夢でも食べます。
お気軽にご相談下さい」
その張り紙を見て、1人の男が扉を開けました。その男は、とても偉そうで、ヒゲの初老の人でした。
「いらっしゃいませ。バクの夢喰い相談所にようこそ。私が店長のバクです」
ハゲかかった頭に、小さな背丈。初老の少し顔がバク似の人が、バクでした。
「どうぞ、お座り下さい。今お茶を出します」
偉そうな男は、古ぼけたソファに座りました。
それは古ぼけた事務室にぴったりでした。
バクがお茶を出します。偉そうな男はお茶に手もつけずに言いました。
「夢を食べてくれるんだってな」
「はいはい、どんな夢でも食べますよ。食べるのはあなたの夢ですか?」
「いや、違う。息子の夢だ」
バクは、偉そうな男につれられて、高級車に乗ってやってきました。
そこは偉そうな男の家でした。とてつもなく豪華な屋敷が建ってました。
とてつもなく大きな門の前で、車は止まります。
「降りますか?」
バクは聞きました。偉そうな男は首を振って、
「玄関まで車で移動する。歩くと30分もかかるんでね」
と言いました。門が開いて、車は発進しました。
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