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とてつもなく豪華な屋敷の、とてつもなく豪華な部屋に、バクは通されました。
「ここは客室だ。くつろいでくれ」
「はあ」
周りを見渡すと、高そうなテーブルに高そうな絵画や置物がたくさんありました。
バクが座っているソファも、だされたお茶もコップも高そうでした。とても、くつろげる環境ではありませんでした。
「あの、息子さんは・・・・・・・・・」
「いま、くる」
はなせー!という声が、別の部屋から聞こえてきました。
ドアが勢いよく開いて、二人の強そうな黒服を着てサングラスをかけた男につかまれて、若い男が入ってきました。
「きたか」
「クソ親父!何の用事だ?また将来の話か?いい加減にしろよ。
俺はロックシンガーになるんだ!てめぇのいいなりにはならねぇ」
かなり興奮している息子を、黒子の男たちはおさえつけたままでした。
そうでなければ、息子は父親を殺しかねない勢いでした。
「まだそんなこといってるのか?いい加減大人になれ!」
「大人ってなんだよ?てめぇみたいに、政治家に賄賂送りまくって会社を大きくすることか?それとも、悪いことして、金をもうけるシステムを作ることか?」
親子の喧嘩に、他人が聞いては行けないワードがでたので、バクは遠慮がちに言いました。
「あの……私はクライアントの秘密は守りますから」
そんなバクの言葉は、誰も聞いてませんでした。
「お前が言いたいことはわかる。だが、それはすべて理想論だ!実際お前は、ロックシンガー目指すとか言って、収入もなくフリーターをやっているだけだろう!そんなんじゃ、そのうち後悔するぞ」
「将来は金にすべて左右されるのかよ!金があれば幸せか?」
「綺麗事をぬかすな!お前が今住んでいる家、着ている服、食べ物。どうやって手に入れている?すべて金だ!
そして、金を手に入れ続けるためには、それなりのシステムが必要なんだよ。そのシステムを、お前に継がせたいんだ」
「そんなの違う!間違ってる。俺は俺らしく生きる!夢を追い続ける」
息子の言葉に、偉そうな男は首を振りました。
「聞いたか?どう思う」
偉そうな男は、振り向いてバクに質問しました。
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