バクの夢喰い相談所①

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バクは驚きつつ、 「ええっと、つまり息子さんは現在売れないロックシンガーやってて、あなたは息子の会社を継がせたい。だからロックシンガーの夢を諦めさせたい………ってことですよね?」 逆に質問した。 「そういうことだ」 「しかし、こういうのは息子さんの承諾がないと………」 「大丈夫だ。手は打ってある」 偉そうな男が、手を叩きました。 ドアが開いて、沢山の音楽機材が運ばれてきました。 「おい、これ俺のじゃねーか」 積み上げられた音楽機材の周りに、たくさんの人が集まります。 手にはそれぞれバットやカナヅチが握られています。 たくさんの人が、いっせいに機材を殴り始めました。騒音と、機材が壊れていく様子が、バクも息子もよく見えました。 「てめぇら何してるんだよ!やめろ!」 息子が叫んでも、機材の破壊活動は止まりません。 むしろ、加速していきます。 息子は必死に黒子の手をふりほどこうとしますが、無駄な努力でした。 そんな息子を後目に、機材は形を失っていきます。 とうとう、叩く音が音が小さくなってきました。叩ける固形物がほとんどなくなったからです。 そうなってから、偉そうな男の命令で、黒子は息子の手を離しました。 息子はまるで、大切な友人の死体を見たかのように、その場に力無く座り込みます。 「ちくしょう」 目からは、涙が流れ出します。 「ちくしょう………なんで、だ。なんで!!なんで!!!」 だんだん声が大きく、怒りに変わっていく息子を、偉そうな男は冷静に観察していました。 そんな自分の父親を、息子は睨みました。 「よ………くもっ!」 あまりの怒りからか、息子はほとんど声がでませんでした。 「お前を幸せにするためなら、なんでもする。たとえ、憎まれても、睨まれてもな」 その言葉を合図かのように、息子は立ち上がりました。 バクはてっきり、殴りかかるかと思いましたが、そのままドアを開けて、静かに出て行ってしまいました。
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