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きっと亀梨は自分の知らないところで、色んなものと戦っている。
それを側で見ることが出来ない事がこれほど苦痛だなんて、あの頃とはまた違うもどかしさに苦しんでいた。
そんな日々がずっと続いていて…。
中丸の話す現状もある。お互い仕事に集中する時だ。
だから、
でも…
言って欲しいと思う。
何か。
愚痴一つでもいい。
「まぁそんな暇ないってゆーよりは、少なくとも辛くないんじゃないか?」
赤西は頷く。
辛い、なんて。
思わないで居てくれるのが一番だ。
それがいい。
そう願う。
「何か言って欲しいのか?亀が弱って、お前を頼って泣いて欲しいとか?」
「…ちげーし」
「前みたいに見ててこっちが痛いようなオーラはないよ。良く笑うし、食べるし。いい意味でまわりが見えてない。」
「そっか…」
それを聞いて赤西は安堵したが、
不意に上がった過去の話題には少しだけ息苦しさを覚え、襟ぐりをくいっと引っ張った。
今となっては笑って話せるが、実際笑えないくらい傷付いて、傷付けてしまってた、あの半年を思い出すと未だに赤西は胸が焦げ付いたように痛くなる。
けれどもうあの頃とは違う。
互いに、やるべき事を、与えられたチャンスを、ものにして、乗り越えて、笑えるのだ。
頑張れ、と。
涙じゃなくて
笑顔で。
「分かってんだろ。亀のことなら」
中丸の真摯な視線と、落ち着いた声でそう言われると、妙に安心して、赤西は詰めていた息をようやく吐くことが出来た。
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