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軍服の男は、生徒会室へつづく廊下を静かに突き進んでいた。
足音をたてずに。
「なんで俺がこんな面倒くさい事やらなければならねェんだよ。」
廊下に響く声。
ブツブツと文句を云いながらも、左手には、大きな段ボールを抱えている。
窓から差し込む太陽の光に照らされた彼の姿は、凄く綺麗だ。
漆黒の軍服を身に纏い、真紅な髪、漆黒の瞳、左耳に2つ‥これもまた漆黒のピアス―――。
何故彼は学院に通う学生なのに、軍服なのか? その理由は後程―。
彼の綺麗な赤毛は、漆黒の軍服姿に妙に映えていた。
ルーツィア学院高校学生庁舎の三階に……目的地はある。
廊下の突き当たりに差し掛かると、そこは他と比べ圧倒的に存在感を示す豪華な装飾が施された扉があった。
扉には生徒会室と書かれた板が張られている。
彼はその前で一旦立ち止まり、次の瞬間ノックもせず乱雑に扉を開け放った。
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