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彩斗の事は知っていた、いや、クロに関わる全ての事を桂吾は把握している
何処で何をして誰と会って何を話したのか
其こそ、クロとすれ違った人や動物でさえ知っていた
知らないのはクロの記憶を無くす以前の事だけ
其でも最近は、掴めそうで掴めない不安定な情報を掴みつつあるが‥
彩斗が逢魔屋に連絡をとったのは、クロがドイツに立ったその日
[強くなりたい]
唐突に告げられた短い言葉に桂吾は二つ返事で承諾した
理由は簡単
[クロの弾除け位にはなりそうだから]
クロに惚れ、心酔する彩斗だからこそ利用することにした
彩斗自信も其でも構わないと合意の上での契約
ある程度の強さになったら逢魔屋でクロの側で働かせてやると約束した
ただし、桂吾が求める逢魔屋の強さの基準に達したら‥‥
その過程で命を落としても良いか、覚悟を決められるかと聞いた
勿論、彩斗に迷いなど無い
[当然だ]
生半可な気持ちでクロの側にいれば、己の命以前にクロ自身をも危険にさらす事になる
小さな甘えや不確かな自信でクロの側にはいられない
なら、せめて彩斗自身から生じる危険を減らす為に強く、今より遥かに強くなる事を選んだ
例え其が死の一歩手前、紙一重の賭けだったとしてもクロの側にいたい‥
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