☆お帰りは此方です☆

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近くにあった服で傷口を押さえるが瞬く間に赤く染まり効果は薄い 刻々と体内の血は失われ船も海に呑まれて行くなか、徐にポケットに入れておいた携帯を取り出す 連絡、待ってるかな‥? 電話‥‥いや、メール ピッピ‥‥ 血のついた指で一文字一文字漸くうったメールを最後の力で一斉送信するとパタリと腕を降ろした もう、無理か‥‥ 薄れゆく意識の中で遠くの方から地響きと共にうねる海水が部屋に流れ込み クロの体を引きずり込む ゴボゴボ 海水に揉まれながら薄く開いた視界に広がるのは己の真っ赤な血 口から空気が次々と漏れ逃げてゆく そして、抗いきれない意識の喪失に身を任せ黒い黒い深海に落ちていった‥ ――‥‥ .
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