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その日のホームルームが終わっても、僕は孤立したままだった。
最悪な気分で鞄に筆箱だけを入れて帰る準備を終えたとき、後ろから肩を二度、ポンポンと叩かれた。
勢いよく振り向くと、目つきの悪い、「高校からは不良になります。よろしく」、といった雰囲気の生徒が立っていた。
「お前、あいつが喧嘩してほしいんだって。お前の目つきが気に入らないって言ってるから、喧嘩してあげてくれないかな?」
そう言いながら、彼は先程僕を睨んできた長身の生徒を指差した。
確かに昔から目つきが悪いとは良く言われていたが、そんなことで文句をつけられたことは今の今まで一度もなかった。
「で、どうする?喧嘩するの?しないの?」
男子生徒はそう言って、額が触れ合うくらいに顔を近づけてくる。
煙草臭い。
細い目に厚い唇、この態度といい、確実に中心人物にはなれそうもない男だ。
僕は彼をそう印象づけると、彼の後頭部を掴み、鼻目掛けて思い切り頭突きをした。
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