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――さて。
連れてきてみたものの、コイツをどうしたものか。
ええと、取りあえず息はしているようだから、よく水分を拭き取って、温めた部屋のソファにでも寝かせてやるのがいいかもしれない。
生憎まだ、革張りのソファは冷たいだろうが今の俵担ぎよりはマシと思ったのでソファに降ろしてやった。
「さむ……」
手早く暖房機にリモコンを向ける。
機械が作動する音が、冷やっこく張りつめた部屋を貫通した。
「どうしたもんか…困ったな、着せられる服がないぞ」
部屋の照明を点け、カーテンを閉める。
うん、外は相変わらずの土砂降り。
空は真っ暗で、雨の勢いがひどい。
暴風警報でなけりゃいいなとか思いながら、鍋から立つ湯気で暖まり始めたキッチンでココアを作った。
数量は自分と、後はソファで沈黙している生き物用に、丁度二人分。
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それにしても、男の風体は随分と変わっている。
なんと言えばいいのか、西洋風の鎧? 甲冑? のようなものを身に着けているコイツから、風体のみに限らず、得体のしれない異質を感じるのは自分の気のせいだろうか…。
汚れきったひどい有様だから、サッサと着替えさせてしまいたいのだが…ソイツはまだ目を閉じたままだんまりを決め込んでいる。
気をつけて見ていると、たまに身動ぎをするので面白い。
明らかな狸寝入りをしているのに、それを必死に誤魔化している様には思わず影で失笑してしまった。
手負いの猫のようにこちらを頻りに警戒している様子を見ているのもなかなか楽しいのだけれど……この状況が状況だ。
次に必要になるのは、当然ケガの手当て。
汚れのせいで灰色に近い白い頭の生き物は、決して浅くない傷を負っている。
そのうえ、どれくらいの間雨風に当たっていたのかは知らないけれど、それが長時間だということは確かなわけで。
早い内に手当をしないと、傷が膿んで悪化してしまう。
深白は…気怠げに小さく溜息を吐き出したあとで、白い頭の男の耳元に口を近付けた。
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