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「いい名前だな、あんた…どこから来たんだ?」
「よくぞ訊いた!」
「…そうか? (さっきは関係ねーとか言ってなかったか?)誰でもまず最初に訊くと思うんだが…」
大袈裟なリアクションで指を突き付けた白い生き物…もといクロードヴィヒの大声に深白は眉を顰める。
「訊いて驚くなよ? オレはアストライア帝国国王、クロードヴィヒ・ベルンシュタインだ!」
「って威張られてもね…そんな国知らないし」
「知らねーとか有り得ねぇし?!」
「お前のでかい声の方が有り得ねーよ。
それよりお前、王サマなんだろう? いいのか? そんな易々と名乗っちまって」
「はんっ、別にかまやしねーよ。どうせここじゃ誰もオレを知らないんだからな。
こんな辺鄙な異世界じゃ特に……でもいちおう、念のために訊いておく。ここは何処の、なんて名の国なんだ?」
クロードヴィヒと名乗った男は、どっかりと胡座をかいたままの姿勢で身を乗り出す。
口では尊大に虚勢を張るものの、目は落ち着きなくそわそわと泳いでいる。
平静を保っているつもりだろうが、口と行動が思いっきし伴ってない。
(ふーん、なんだ…コイツ怖がってんのか)
見ていて、なんだか色々と不憫な奴だ。
(これが、俗に言われるヘタレってやつなんだろうな。
初めて見た記念に、後で写メしておこう)←失礼
そんな『いま気付きました』的な顔で言われても…笑えない冗談は止してほしい。
確証も、特に信じる気もないのに、気がつけばなぜか口が勝手に動いて説明をしていた。
…まただ。
さっきと同じ、違和感が浮き上がる。
「まず、ここは日本という国で、その中でも北方地域にあたる場所。そして、いまお前がいるのは私の家だ。
理解したか?」
説明しながら、不可解な自分に苛立ちを覚えたが、いま重要なのはそこではない。
コイツをどうしようか…。
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