◇二話◇

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「これが家なのか…城の馬小屋より狭いんだぞ」 「…お前、そんなにあの嵐ん中放り投げられたいんだな」 これみよがしに拳を鳴らすと、クロードヴィヒはもそもそと後ずさる。 「ばっばか…べっ、別に馬鹿にしたんじゃねーよっ。感想を言ったまでだ!」 「はいはい。分かったから、冷めないうちにココア、飲んじまいな」 「お…おう」 「あと、ケガ結構ひどいから無闇に動くなよ、傷が拡がっちまうぞ」 大人しくココアを飲むクロードヴィヒ。 身体が温まったせいか、初めよりは大分血色がよくなった。 …拾ってしまったコイツを、どうしようか。 帰る場所があるなら、そこに返すのが一番だけれど……ひどい怪我をするような環境なら考えものだ。 ……いやいや、自分はなにを考えている! 大方、手当てしたので情が湧いたのだろう。 しかし、どうせ自分はこいつ自身に関わりがない真っ赤な他人なのだ。 ――それに、コイツにも帰りを待つ誰かがいるかもしれない。 雨が止んだら、元いた場所にクロードヴィヒを帰しに行こう。 万事解決には、それがいい。 「おい女、この飲みもん…まだ残ってるか?」 「なんだ。お代わりか?」 いけない、ぼうっとしている暇はないというのに。 「ほら、火傷するなよ……なぁ、あんたさえよければ…ここにいるか?」 「お前、それがどういう事か解って言ってんのか?」 「ああ」 「見ず知らずの男を泊めて、もし何かあったらどうするとか思わねーのかよ」 「別になんも。だってそんな不貞な男は、軽くのせる自信はあるからね」 「お…お前、変わってんな」 「…そうか?」 変わっている? それはどういう意味でのことだ。 「得体の知れねぇ奴、しかも男に施しを与えるなんてよ」 マグカップを呷ったまま、上目にこちらを伺うクロードヴィヒ。
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