目を閉じたらあら不思議!

11/15
前へ
/160ページ
次へ
よく見るとそれはひとだまではなく、提灯だった。 その明かりのおかげで、私の肩を叩いた人の姿を確認できた。 ‥‥‥‥が、 「着物、侍‥?おっ落ち武者の幽霊ぃぃぃ!?南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏‥‥‥ひぃい!?」 ギラリと怪しく光るのは‥落ち武者の刀ぁぁぁ!? その刀は私に向けられていて、もう気絶寸前。 目を開けば意味のわからない場所にいて、やっと人に出会えたと思ったら落ち武者の幽霊で‥。 「刀を向けるな。そいつはどう見ても女だろう」 「わかってます。でも人を幽霊扱いしたから思わず」 あらもう一人いらっしゃるのね。 もう驚きすぎて、何にも驚かないよ‥。 刀を向けた幽霊を落ち武者Aとしよう。 で、止めに入ってくれた幽霊を落ち武者Bとしよう。 落ち武者Aは私よりも髪が少し長く、低い位置で後ろで一つに括っている。 顔は‥イケメンでした。鋭い目つきが少し怖い。 落ち武者Bは、今の私みたいにポニーテールにしている。 顔は‥イケメンでした。ていうか、どこかで見たことがあるような気がする。 落ち武者Aが刀を鞘に収めると、若干殺気を放ちながら私を見る。 「なんですかこの着物。初めて見たんですけど」 「さあな。まあ、怪しいが丸腰だし、危害は加えないだろ」 二人は私の前で会話をしている。 耳を疑う発言がいくつもあるんだけど‥。 着物?初めて見た? いやいや、普通にワンピースだから珍しいはずがない。 幽霊だから知らない‥わけないか。 丸腰?危害? まるで丸腰でない、落ち武者AとBのように刀を持っているのが普通みたいな言い方だ。 ようやく冷静になり始めた私は、二人の様子をよく観察してみることにした。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

205人が本棚に入れています
本棚に追加