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私はというと、別に美幸のように新選組が好きというわけではない。
ただ話を聞いたり、お土産を貰ったりしているだけ。
美幸のこういう姿は私しか知らないらしく、友達になってお互いの素をさらけ出してから、美幸の新選組の話を聞くようになった。
そのせいか、全く知らなかった私も少しだけ新選組のことを知っている。
「ありがと。これどこに付けようかな‥。
前にも何回か行ってるのに、よく飽きないね~。昨日はどこ行ったの?」
美幸は京都の他にも、東京や函館‥忘れたけど、とにかくゆかりの地を旅行している。
帰ってきたら、とりあえず私に旅行の感想という名の語りが始まる。
いつの間にかそんな感じになっていたけど、全然嫌じゃなかった。
「昨日のメインは池田屋だよ。
はい!池田屋といえばなんでしょーか!」
「いきなり!?えーっと‥新選組が有名になった池田屋事件?」
「ピンポーン!いきなりのクイズにパッと答えられるなんて、美幸嬉しい~!」
こういうノリの良さが美幸のいいところ。
それにしても、すぐに答えられる私って一体。
池田屋事件は有名らしく、どんな事件かは知らなくても名前を知っている人は結構いる。
よからぬ企みを抱く者達を、新選組がやっつける‥だっけ?
とにかく、新選組が大活躍した出来事だということはしっかり覚えた。
「やっぱりさぁ、活躍した人の名前ばかり上がっちゃうものなのかな?」
「どうして?」
「旅行中に知り合った新選組好きなお姉さんと話したの。
池田屋事件に限らずなんだけど‥有名な出来事で名前が残るのは、“生きた人”。“死んだ人”の名前はあまり知られていないって」
語りだすと急に真面目になるから、そのギャップに笑えてくる。
でも笑うと怒られるから、私は黙って聞いていた。
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